Withコロナの大規模展示会は、次代の転換点となった

【総力特集・現地取材】Withコロナの大規模展示会は、次代の転換点となった

日本能率協会主催、メンテンナンス・レジリエンスOSAKA2020 レポート

会場入口

緊急事態宣言解除後、初の大規模展示会として開催された
「メンテナンス・レジリエンスOSAKA2020」(於:インテックス大阪、主催:日本能率協会)

コロナ過にあっての大規模展示会の開催は、賛否両論ある中で開催されたが、withコロナの時代を象徴する展示会であると共に、展示会ビジネスの大きな転換点を象徴する展示会となった。
当サイトでは、総力特集として現地取材をお届けする。

※文中の赤字は主催者、マーカー文字は出展者、青字は来場者の発言

1)厳重な対策

何といっても、コロナ対策が厳重であった事が一番の印象。

・ともかく検温からスタート

2つの導線

まず会場入口に設置されたアルコール消毒をしてから、入場券の有り無しで青と赤のパンチカーペットで誘導導線を通って、サーモグラフィーでのチェックになる。
サーモグラフィーでチェックを受けた後、検温担当のスタッフまで進む。この間数十メートルという流れで、もちろんソーシャルディスタンスを守っての整列入場になる。

入場時のサーモグラフィ

「プロジェクトチームを作って、全てのスタッフがガイドラインをしっかり学んだ上で、立ち位置の距離から、導線計画まで、様々な討議を行い、緻密な計算の元で臨みました」と主催者。
前例の無い対応を模索しながらの対応策は、かなり大変だったことが伺える。

入場口のバーコードチェック

二重、三重のチェック体制は、少々大げさな雰囲気に包まれており「厳戒態勢」的なイメージだった。
しかし、来場者からは、かなりの評価を受けており、「ここまで入念に検査をしている体制を見ると安心です」との声が聞かれた。

・各所にアルコール消毒

トイレ入口にあるアルコール消毒
<会場側にて設置>

とにかく、アルコール消毒のボトルが各所にある。
会場の入場口から始まり、各号館の入退場口、ワゴン販売などのフードコート系、さらにトイレの入口まで、随所にアルコール消毒は設置されていた。
「展示会でここまでアルコールを持ち込んだことは前例が無い」と言われる程だ。

・そして換気・・・

入場口にある大型扇風機と大阪コロナアプリ

会場内の出入り口に設置された大型の扇風機などが特に印象的。全ての会場入口には、主催者設置のアルコール消毒も。

全ての管内で搬入口を開けていた

換気にも配慮されており、各号館の搬入・搬出口は、シャッターを50cm程度開けて常時換気。と共に、冷房効果が下がる事を予測して、大型扇風機を随所に配備など、換気対策も十分に考慮されていた。

・ソーシャルディスタンスはトイレまで

トイレの中までマーク

ソーシャルディスタンスは、会場入場口から徹底されていたが、なんと、トイレの中の導線までソーシャルディスタンス対策が実施されていた。
残念ながらさすがにトイレに並ぶ姿はなかったが、配慮された内容に気が付く人は多かった。

お店の前もソーシャルディスタンス
<会場側にて設置>

お弁当や飲み物を販売しているお店の前にも、ソーシャルディスタンス用のシールが貼られていた。気が付かない人もいたが、大半はルールを守って並んでいた。
ソーシャルディスタンスを促す事には徹底して取り組んでいる様子がうかがえる。

・大阪のコロナ追跡システムの案内も随所に

大阪市の
コロナ追跡システム看板
メイン広場の
大型スクリーン

出展に大きな不安がありましたが、会場を見て「ここまで配慮されている運営なら、自信をもってお客様をご招待できます」との声も上がった。

・定期的な消毒作業

会場内ラウンジ
プレスルーム入口

会場内のラウンジの椅子やテーブル、来場者が触りそうな扉、そしてプレスルームの机などまで、定期的な消毒作業を実施しており、徹底ぶりがうかがえた。

2)完全事前登録制
今回の展示会は、徹底した事前登録制が敷かれている

当日入場受付

・入場時はプリントアウトした入場証を持参
入場時は、入場券のある来場者と無い来場者を明確に分ける所から始まる。
「完全事前登録制なのでは?」と思っていたら、「今回は完全な事前登録制です。入場証の無い方の誘導は、事前印刷されてこなかった方への対応が基本となります」と。

スタッフの視認性とモノクロプリンターである事を考慮して極力不要なデータを入れないデザインに。

入場口のバーコードチェック

・完全事前登録制のアナウンス効果は・・・
どうしても事前登録が出来なかった場合は?との問いに「このコロナ過で、そこまでしてこられた来場者様に帰って頂く事は出来ませんので、止む無く当日登録して入場証を印刷してお渡ししましたが10名もいなかったです。」との事。
来場者も「いつもの展示会とは違う」事をかなり意識しての来場である事がうかがえる。

3)来場数制限
ガイドラインに準拠しての入場制限

・入口出口での来場カウント

1号館のダイレクト入場口

「来場制限は徹底しています。入口と出口のカウントをリアルタイムに確認し、常時人数の制限を守った運営を行っています。」との事。
実際には、メインの入口だけでなく、1号館のダイレクト入場口でもカウントし、15分おきに集計している事からも、力の入れようがわかる。

大規模イベントの来場人数は5000名未満との政府のガイドラインを遵守しての運営の成果で、初日の来場者数は、メンテナンス・レジリエンスが3257名、ホテル・レストラン・ショーが1305名と合計4562名となった。

喫煙所も入場制限

・喫煙所までが制限
今回、一番密になる場所は喫煙所かも知れない。しかし、その喫煙所もしっかり「入場制限」が実施され、喫煙所が「空く」のを待っている行列が絶えなかった。
ヘビースモーカーにはきつい展示会かも知れない。

4)質の高い来場者・・・
商談目的の来場者が多いと感じた出展者

・展示会の来場者の95%は情報収集とされる中、今回の展示会では「いつもと同じように商談が出来た」「特にブース訪問の人数は下がっていない」などの声が出展者から上がった。

2日目の午前中の会場の様子

「出展社アンケートはまだこれからですが、初日のヒアリングでは、出展者のお声の中でクレームのような内容は出ていなくてほっとしています」との事で、来場者の質の高さが、ブース訪問数の絶対的減少をカバーしたと言えるかも知れない。

5)会場内は・・・
「最終日の午後4時」との印象

展示会最終日のような場内

・会場内は、常に「最終日の午後4時」の印象で、かなりガランとしている。いつも取材に来ている大規模展示会では、人と人がぶつかる事は当たり前だが、そんな事は全くない。
ブース内には、常時2~3人程度、大きなブースでも5人程度の来場者だが、すぐに「帰る」人は少ない様子。しっかり話しを聞いたり、パネルをじっくり読んでいる姿が目立った。

・ブースの説明員も厳重な体制

マスクの上にフェイスシールドの説明員

ブースで多かったのは、マスクの上にフェイスシールドを付けての接客の姿。
「万が一、当社のブースに来てコロナにかかったという事が絶対あってはならないとの思いです」と出展者。「ここまでしてもらえれば、ブースに行って話を聞こうと思います」
と来場者。対策強化がブース訪問の決めてになっている感があった。

・だぶついた説明スタッフ
残念ながら、通常の展示会の体制で臨んでいたブースは、説明員がだぶついている様子が目立った。
今後、このようなスタイルでの展示会開催が多くなってくるとしたら、スタッフや説明員の配置計画も、変わってくるかも知れない。

常時「最終日の午後4時」の状況であると、説明員は半数でも充分なのでは?と思ってしまう状態。
「今回の出展で、どのような体制で臨めば良いのかが分かった点は良かったと思います」とは大手メーカの出展者談。今後の出展の在り方も変わってくるかも知れない。

・意欲的な出展者
「緊急事態宣言解除で、開催決定をした後が一番出展キャンセルが多かった」と主催者。
その分「意欲的な出展者が集まった展示会」だったようで、出展者からの不満は殆ど無い。

「まずは対面で商談ができるリアルな展示会の開催を決断しました」との主催者の思いが反映したのか、「来場者が少なくても立派な展示会で良かった」との出展者の声からリアルな展示会に出展したい気持ちがあふれている事が見て取れる。

6)今後の展開
ハイブリッド型の展示会も視野に。

「(ネットを使った)ハイブリッドな要素も必要だとは思いますし、今後は研究して取り組んで行きたい」と語る主催者。
ただ、「リアルな展示会の開催を求める出展者が圧倒的」である事も事実。
ネットがリアルにとってかわる事は無いにせよ、「製品やサービスを広く告知」する展示会の役割を果たす為には、ネットを使った拡散効果も必要では無いかと感じる。
face to faceで「顔の見える商談ができる」リアルな展示会と、どの製品やサービスが興味を持たれたのか?何がうけているのか?などの「データ」を取得でき、さらにその次の人々への拡散効果が期待できるネット展示会。
その役割を同時にもって、進めていく時代に入ったのかも知れない。

7)ブースもハイブリッド?
出展者の中には、ブースもハイブリッド形式で運営している出展者があり、特別にお話しを伺った。

LIVEショールームとして、東京や大阪のショールームに待機している説明員と来場者をZoomを使って繋いで製品説明を行っていた「アイオイ・システム社」
大画面テレビの前には、常時説明員が待機し、来場者がブースによって来たら話かけていくといった手法。

現場の担当者は、「反応は非常に良いです。特に、当社はピッキングシステムという大型の商品なので、会場に運べるものでも無い事もあり、このような形態で対応する事で、ショールームにある幅広い製品の紹介が可能になりました」と語る。
「ブース内に来場者を誘導するなど、まだまだ課題はありますが、今後もこの手法を高めて行きたい」と意欲を語っていた。


Withコロナ時代の大規模展示会
今回の取材では、Withコロナ時代の大規模展示会の開催は、出展者にとっては「待ち望んだ」ものであり「期待感が大きい」ものであることが分かった。
と同時に「主催者が今まで以上の配慮と知恵で運営していかなければならない」時代への突入である事も明確になった展示会であった。
来場者も、単純な情報収集では無く、具体的な課題解決の為に展示会に訪れる傾向性が高くなるかも知れない。
そうなった時、主催者は今までと同じ価値感で開催する事はできないと思われる。
また、出展者も新しい目的感を持たなければ、多額の資金を投入して出展する費用対効果が望めなくなるだろう。
特に、今までのような「名刺獲得主義」的出展では、時代に取り残される事は必至と思えてならない。

ハイブリッドの価値
展示会の価値の一つに「同一の業種・業態の製品やサービスの最新情報が一堂に会する」事がある。
そういった「情報源の集合的価値」は、もはやネット系に任せた方が良いのかも知れない。
資料のダウンロードや動画の閲覧、プレゼンテーションなどは、ネットの最も得意とする分野でもあり、来場者が重いカタログを持たなて良くなり、手ぶらで会場を回る事ができ、より多くのブースを回ったり、商談に集中する事ができる。
リアルな展示会場は「巨大なショールーム」として位置し、ハイブリッド展示会として併設されたネット上のバーチャル展示会は「情報源の集合」として、それぞれの価値をうまく融合させて展開していく事で「出展者」にも「来場者」にも大きなメリットをもたらす事になる。
それぞれの主催者が模索しながらも、懸命に知恵を絞って運営されていく、時代の展示会(ニューノーマル展示会)の姿に期待したい。


主 催:一般社団法人 日本能率協会 ホームページはこちら
展示会:メンテナンス・レジリエンスOSAKA2020 ホームページはこちら
取材先:一般社団法人 日本能率協会 産業振興センター エキスパート 根本 淑子様
聞き手:グローブコム株式会社 中村 賢司 ホームページはこちら

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